【特集】スター・ウォーズ 3.75" GALAXY/エピソードⅠ パダワンに捧げる購入ガイド
エピソードⅠ
玩具界隈には混乱が渦巻いていた。
アクションフィギュアのサイズについて
意見が割れたのだ。
市場には12インチや6インチなど、
さまざまなスケールが乱立した。
この非常事態に息を潜めていた
"3.75インチ"ヤ●ザが声を上げる。
紛争解決のために、
単身トイトラへと乗り込むのであった…
3.75、この数字に見覚えはないだろうか?
いや、おそらく大半の方にはないと思われますし、むしろ「数字のキリが悪すぎる…」という感想を持たれる方のほうが多そうですが、とあるジャンルのオタクたちにとっては甘美なる響きをもった魔法の数字なのです。そう、一大イベント"セレブレーション"の日本開催を2025年に控え、ひときわ盛り上がりを見せる『スター・ウォーズ』のオタクたちに!
今回はそんな魔法の数字の謎を解き明かすべく、"3.75インチ"ヤ●ザ1のナカシーさんをお迎えして語っていただきましょう。初心者でもコレを読んだら3.75沼に頭までどっぷり、サーガよろしく3部作(全3回の連載)でお送りします。
(序文・聞き手:シライシ)
3.75インチヤ●ザ、襲来
みなさま初めまして! ナカシーと申します。
普段はオリジナルのミニフィギュアなどを作ってデザフェスやワンフェスで販売しています。 シライシさんとは4年ぐらい前に意気投合した後、JoyGarege2などのイベントでご一緒させていただきました!
いつもお世話になってます!
トイトラ初のゲストということで、存分に語っちゃってください。よろしくお願いします!
今回は『スター・ウォーズ(以下SW)』3.75インチフィギュア特集ということで、今まで収集してきた知識や経験を生かしてたくさん魅力を紹介できればと思うのですが……
ナカシーさんのコレクション!壮観!
コミコンでコスプレイヤーが集合写真撮った時ばりにヴェイダー大集合ですね。
初回でシリーズの歴史なんかのお話をするよりも、まずこれ買うべし!みたいな具体的な話のほうが参考にしていただけそうですよね?
おもちゃの性質上、実際に手に取っていただくのがいちばんの布教になりますからね。
それでは、今回はビギナー…いや、僭越ながら"パダワン3"向けの購入ガイドということで進めていきますね。
3.75インチマスターのみなさんも「これをレコメンドするのか!」みたいな視線で見守っていただければと思います。
もし今回の記事を読んでいるなら、まずは1体お迎えを!あとは勝手に増えていくハズなので。
3.75インチっていったいなんなの?
とはいえ、SW3.75インチフィギュアの概要くらいはざっと触れておきましょうか。
はい。3.75インチはそのままフィギュアのサイズを表していまして、だいたい9.5cm4。
人体を1/1としたときに1/18相当のスケールとなります。
SW1作目の公開後に発売されたサイズが元になっていて、いまでもこれを踏襲しつづけているわけなんですね。ベーシック・フィギュアとも呼ばれています。
バックカードに中身が見えるブリスターパッケージ……というのもおなじみのフォーマットですね。
未開封でもコレクションを楽しめるので楽しみ方も様々です。
SWに限らず、このスケールでも結構色んなキャラが発売されてるんですよ。
SW3.75インチフィギュアが誕生してから約46年。 この長い歴史の中で、数々の魅力ある商品が発売されました。
現在も原宿・トイサピエンスなどの店頭で、現行シリーズを買うことができます。
ご長寿シリーズですからねぇ。
『フォースの覚醒』あたりまでの歴史を総覧する記事は"電撃ホビーウェブ"のヤツ(ググってね)とかありますので。
今回は、これ読み終わったらすぐポチれるくらいの範囲でピックアップしていきましょう。
ではでは、数あるシリーズの中でも私がパダワンの皆様にオススメしたいシリーズはこちらです。
3.75インチ買うならまずはコレだ!
まず手に取るなら……ということでオススメしたいのが「パワー・オブ・ザ・フォース(以下POTF)」です。
こちらは「特別篇」が公開されるちょっと前、1995年から発売されたシリーズ。
現在のSW3.75インチシリーズはここから始まったといっても過言ではないです。パッケージカードが緑やオレンジで、左上にダースベイダーの顔があるのが特徴です。
「特別篇」はジョージ・ルーカス監督の構想に近づけるため、オリジナル3部作を制作当時には使えなかったCG技術などで再構築したバージョンですね。
現在のフィギュア展開に繋がるアイテムとしては、いろはの"い"くらい重要な位置付けですよね。
SWアイテム色々出ててわかんないよ!と言う方でもこのパッケージは見たことあるかも。
初期のシリーズということもあって、関節可動箇所は5か所のみ。
人間キャラクターはかなりアメトイチックなフォルムになっていますが、 おもちゃとしての強度と精度は高いです。
両手足と首の可動という、直近のアイテムと比較すると超絶シンプルな構造。
また、マニアックなクリーチャーも豊富にラインナップされており、頭部の造形に至っては現在でも通用する高クオリティのものが多いです。
そして何よりも、中古おもちゃ屋さんに未開封の在庫がたくさんあって、安いものだと1体100円から買うことができる5点がイイ!
プレイバリューを考慮すると安すぎるくらいなので、 まずはこのシリーズで豊富なキャラクターに触れていただきたいです。
なかでも、特に手に取っていただきたいキャラクターがこちら。
- モモー・ネイドン
- ラック・シヴラック
- アクバー提督
- マラキリ
キャラだけ見ると初心者向けとは思えない渋チョイス……ですが、確かにメインどころは後発のバージョンが数多く存在しますもんね。
1体ずつ触れていきましょうか。
POTF モモー・ネイドン
まずは「モモー・ネイドン」アイソリアンという名前の種族のエイリアン。
ハンマーのような頭の形が特徴で、口は両側面についている不思議なクリーチャーです。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のタイムマシン(デロリアン)も手がけたロン・コッブ氏によるデザインですね。
最近だと同じ種族が『ブック・オブ・ボバ・フェット』の悪名高きモク・シェイーズ市長、米ディズニーランドの「ギャラクシーズ・エッジ」内で骨董品屋を営んでいるドク=オンダーなど、各媒体で名バイプレイヤーとして活躍しています。
さて、POTFのモモー・ネイドン、それぞれポイントを見ていきましょう
まずは造形面。劇中ではほぼ首から上しか写っていなかったのに、コンセプトアートをモチーフにしっかり全身が再現されています!!
着ぐるみだと再現が難しそうな足の太さやバランスなども見事に作られていていいですねぇ。
劇中で描かれなかった部分のディテールまで堪能できるのは立体物の強みですよね。
頭の形状は、本物より少しデフォルメされていますが首元のポッコリした造形が丸みを帯びていてかわいいですね。
THE"SWエイリアンフィギュアの基礎"って感じの造形とバランスになっています。
眠そうな顔もかわいいです。
劇中でもそうでしたが、特に目がおねむモード。
続いて付属品。POTFシリーズは、プレイバリューを高めるためにすべてのキャラクターに必ず武器や小道具が付属しています。
でも、スターウォーズの登場人物ってみんながみんな武器やガジェットを持っているわけではないんですよね….。
特にカンティーナにいたエイリアンなんて何持ってるかわからないキャラが多い。なので、おもちゃデザイナーさんたちがこんなの持ってたんじゃないかなって考案した持ち物を持っていたりするキャラがいます。モモー・ネイドンもそのひとり。
おもちゃオリジナルのデザインが本編に逆輸入……というパターンが最近の映像作品にもしばしば見られたりで、迂闊にスルーできない要素だったりします。
とはいえ本編ではカンティーナで酒飲んでるだけのキャラですからね!
んで、モモーネイドンが持っている武器がこちら。
ダブルバレットブラスターライフル
殺意が高い。
物騒すぎる。
……。
……壮絶な過去があったことが伺える装備ですね!
(彼のバックグラウンドについては「スターウォーズの鉄人6」をチェック!)
POTF ラック・シヴラック
次に紹介するのは、狼男エイリアンのラック・シヴラック。
こんなエイリアンどこにいたっけ……と思われる方、たくさんいるんじゃないでしょうか。
繰り返しになりますが、初心者向けにしてはかなり渋いラインナップですからね……!
SWキャラとしての知名度よりおもちゃのプレイバリューを優先して紹介してます。
EPⅣ『新たなる希望』が劇場初公開当時、カンティーナのシーンに登場していました。
しかし、1997年に「特別篇」が制作された際、登場シーンが別のエイリアンに変更されてしまい、映像の中でその姿を見ることがほぼできなくなってしまったのです。
DVD以降のソフトや現在ディズニープラスなどで配信されているバージョンは、「特別篇」ベースでさらに変更が加わっていますね。
なのでみなさんが目にするSWでは基本カットされているキャラだと思ってください。
こんな悲しい経歴をもつシヴラックですが、「特別篇」公開よりもこのシリーズが早く展開されていたのでギリギリ商品化されていました。(よかった)
造形面では足の形状が獣脚になってるのが良いですね。
顔も劇中の印象にかなり近くて、ハイライトが入った瞳がかわいい。
ユニバーサル・モンスターの狼男に徹底対抗できる20世紀フォックス産の狼男ってところでしょうか。
で、当然ながら彼にもあるんですよね……付属品。
ありますよ、ふたつ。
ふたつ。
ブラスターピストル&バーボブレード
殺る気満々だぁ。
一押しはバーボブレードですね。マシンガンとチェーンソーを足したような形状の武備で物騒レベルが高い。きっとコイツで、自分を本編から削除した大人たちを消…
次いきましょうか。
POTF アクバー提督
みんな大好きアクバー提督。
彼もこのシリーズでしっかり商品化されてます!
ようやくメジャー(?)なキャラが来ました。
EPⅣ『ジェダイの帰還』で第2デス・スターに攻め込む反乱軍艦隊を指揮したお方です。
このフィギュア、びっくりするくらい顔の造形が良いんです。
首のひだや目の周りのしわなど、複雑な形状が見事に再現されています!
彩色も良い。成形色のオレンジがまず綺麗で、その上にブラシで吹かれている緑色のバランスが絶妙です。
なんだかちょっと腐りかけのアメリカのお菓子みたいでおいしそうですね。
もうどこまでが"褒め"なのかわかんないよ……。
付属するは武器は、コムリング・リストブラスター。
腕にズバッと装着するタイプの武器です。
このアクバー提督は両手共に開いた形状なので、物を持たせることができないんですよね。
それゆえのリストバンド型武装!
手の形状を無理やり変えることなく成立させてるのがいいですね。
惑星モンカラにいるときはこれ常備してるんですかね7。かっこいい。
2000年ごろに発売されたシリーズには、部下の「モン・カラマリ・オフィサー」がラインナップされています。
本商品のカラーと付属品を変更したアイテムで、こちらもあわせておすすめです。
POTF マラキリ
お待たせしました。人間キャラです。
マラキリ。
初心者向けってさんざん言ったじゃないですか……。
いくら出来が良くても半裸のおじさんは無茶だって。
EPⅥでジャバ宮殿地下に飼われている猛獣・ランコア(名前はパティーサ)の飼育員をしていたおじさん。
パティーサが死んじゃって号泣してた人8です。
造形・彩色ともに、もはや本人。30年前の商品だと思えないくらいそっくりです。
顔と腹がそっくり。
「腹がそっくり」って生まれて初めて聞いたワードですよ。
地肌部分の胸毛のペイントが、エアブラシの絶妙な吹き加減で再現されているのも企業努力を感じますね……。
胸毛に企業努力感じてる人も初めて見たよ9。
目のペイントもハイライトが入っていて生き生きしてる。
ランコアと楽しい日々を過ごしていたときはこんな表情だったんでしょうね。(遠い目)
締めの1体で微妙にハードル上げちゃった気もしますが、
長い3.75インチコレクター人生の1歩目がおじさんフィギュアなのもアリじゃないでしょうか。
3.75インチの魅力ってなに?
最後のひと押し、ということで、3.75インチフィギュアの魅力を語って今回は終わりにしましょうか。
まずは、今見ていただいた通り脇役を含むたくさんのキャラクターが発売されている点ですね。
近頃は6インチなど他のスケールもフィーチャーされていますけど、
長年の歴史で積み上げてきた膨大なラインナップにはまだまだ敵わないですよね。
ラインナップが「売れ線」傾向にある昨今においても、
売り上げとか考えてなさそうな当時のマイナーキャラ立体化はホント貴重です。
加えて、これは実際に触っていただくとわかるのですが、
コンパクトだけど細かすぎなくてちょうどいいサイズ感なんです。
収納スペースを圧迫しすぎない、とにかく数を集めたいコレクターにはありがたいサイズ感。
最後に、今回紹介はできなかったんですが面白いギミックが仕込まれたアイテムもあったりで……
このあたりは次回以降の連載で紹介できたらと思います!
ほどよく期待感を持たせたところで、続きはまた次回。
今回が入門編なら次回は基礎編として、コレクションを拡張する方向に広げていきましょう!
次回までにまずは1体、手に取ってみてくださいね〜!
次回「エピソードⅡ」は24年4月の公開予定です。お楽しみに!
- 3.75インチヤウザ、すなわちPOTFサイ・スヌートルズとの2パックフィギュアのこと。ジョー・ヤウザはエピソードⅥ特別篇にてジャバ・ザ・ハットの宮殿で熱唱しているエイリアン。 ↩︎
- トイトラの前進として開催していたおもちゃのガレージセールイベント。またやりたいね。 ↩︎
- ジェダイ・ナイトまたはマスターに師事する弟子のこと。初心者向けの記事なので念の為補足を。 ↩︎
- あくまで基準サイズでありアイテムによってバラツキは当然あるのだが、大型アイテム含め同スケールの商品は3.75インチと呼びがち。側から見たらヘンな話だ。 ↩︎
- ベーシックフィギュアもピンキリだが、今回紹介したようなフィギュアは高くても1000円以内が相場かと。ネットだとその時々の流通数で若干高めに価格設定がなされる場合もあるが、中古屋の店頭などにも転がっている確率が高いのためお値ごろなものを探してみてほしい。 ↩︎
- ネット上に燦然と輝くSW知識の宝庫。ディズニー買収の際に、それ以前のスピンオフ作品での設定は「非正史」とされてしまったのだが、この非正史設定を中心にキャラクターや用語ごと詳しく解説されたサイトである。 ↩︎
- そんなわけはない。 ↩︎
- ちなみにマラキリはパティーサと初めて出会った日、その美しさにも思わず涙を流している(現在は非正史の小説設定)。涙で始まり、涙に終わった関係なのだ。 ↩︎
- 記事用の方便なのでご容赦を。同じこと言いそうな人パッと3-4人は思い付きます。 ↩︎